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詩「人類は」「人類は」「人類は」「そう人類は、月ばかり見てきました」


「白紙の枝」

「枝に名前はない」

「枝は裸」

「聴こえる必要は無いんです。僕の声はここにありますから」

「耳をすましてください。これだけたくさんの人がいても、誰かの話し声ってあまりここでは聞こえませんね」

「角はありますか?」

「角が生えたことはありますか?」

「角を引っこ抜くことはできますか?」

「角笛か……」

「またサイレンが聞こえましたサイレンの合図で滑走路を見渡すとその先に空の変化が見えます」

「この後滑走路自体が飛び立ちます」

「この後滑走路自体が川になって飛び立ちます」

「1.5キロの国立滑走路その先の空の変化の仕方が変わります」

「角が生えたこと、ありますか?」

「角を何に使いますか?」

「これは折れたドラムスティックですそれをマイクに僕はあなたに話しかけています」

「ずっと心が話し続けていませんか?それは聞こえますか?」

「基本木の枝には、文字が描かれてなく、名前さえありませんが、それは何にでもなれますか?」

「木の枝は裸ですか? 名前がなければ裸ですか?」

「踊りを見る必要は無いんです。僕がここにいることが、みんなの踊りなんです。それを信じられるから、僕は見えるものに頼ることなく、自分の言葉を話し続けることができます」

「白紙の上には何でも書けますか?何を書きたくなりますか?」

「夕焼けが途切れないのはなんでですか?空の色の変化が途切れないのはなんでですか?」

「ここにいる全員の鼓動を聞き取ることができますか?」

「僕がこうして自分の唇を指させば、あなたにも何かを話していることが伺えますが、聞こえなくても構いません。音が、ここにありますから」

「結局、演技も演劇も選択することができませんでした。白紙の上で、誰しも自分自身を描きたいものなのでしょうか?」

「演技や演劇によって自分から自由になることができますか? 白紙の上で、何のために何をどのように演じたいですか?」

「ステージとステージ以外の波打ち際を歩いています」

「コンクリートの上の白線は岩や山のように緩やかに変化していく、波打ち際ですか?」

「聞こえない笛を鳴らしています」

「やがて滑走路自体が飛び立ちます」

「最近どうでしたか?」

「アスファルトに耳をつけてみたんですいろんな音が聞こえるかなと思ったら何も聞こえませんでした」

「コンクリートに耳をつけながら寝てみても何も響いては来ませんでした」

『そんなことないよ音はあるよ音が聴こえるよ』

「え?」

『響いてるよ』

「どんな音が聴こえましたか?」

『音が聴こえるよ』

「それは目に見えますか?」

『見えなくても聴こえるよ』

「それは何と言っていますか?」

『寂しいって言ってる』

『悲しいって言ってる』

『愛して欲しいって言ってる』

「それは誰の言葉ですか?」

『私の言葉』

「自分から自分への言葉?」

『そう。私から私への言葉』

「どうして悲しいんですか?どうして寂しいんですか?」

『理解されなかったから』

「自分が自分を理解できなかったから?自分で自分を愛することができなかったから?」

『そう。自分を理解してあげられずに愛することができなかったから寂しかった悲しかった』

「自分を愛することができたらいいですね」

『そう。あなたがいなくてずっと淋しかった』

「僕もずっと会いたかった」


「人類は」

「人類は」

「人類は」

「そう人類は、月ばかり見てきました」

「人類は」

「そう人類は」

「人類は」

「そう人類は、月ばかり見てきました」

「生活の中で、太陽を直視することができませんでした」

「太陽が好きでした」

「しかし、太陽を直視することができませんでしたスマホのレンズ越しにそれが可能になりました太陽を直視できるようになりました」

「これはラップではありません」

「ポエトリーリーディングでもありません」

「ただの僕の気持ち僕の言葉です」

「365日24時間毎分毎秒、ずっと月の変化について感じていたい」

「満ちたり欠けたりそれは波打ち際の波のように移り変わります」

「人類は月ばかり見てきました」

「白がとてもきれいでした。でも白いからきれいだったわけではありません」

「月は裸ですか?」

「月が綺麗なのは裸だからですか?」

「月なら直視することができて、光が白く優しいからですか?」

「月は無修正ですか?」

「誰か、月の裏側を見たことがある人いますか?」

「太陽は月の裏側まで知っていますか?」

「人類には、月の裏側が見えますか?」

「月の裏側も好きですか?」

「もし裏側が影の世界、つまり2次元だった時、人類はどうなりますかあなたはどうしますか?」

「人類は」

「人類は」

「人類は」

「そう人類は、月ばかり見ていた」

「白くて優しい月」

「そして『令和』が始まった」

「平和を命令されるみたいに『令和』が始まった、と、心が違和感を覚えましたか?」

「月は好きですか?」

「好きは好きですか?」

「月は月ですか?」

「人類は」

「人類は」

「人類は」

「太陽の方が好きですか?」

「月も太陽も好きです」

「私は月も太陽も好きです」

「裏側が見えなくても大好きです」

「音楽はここに流れ続けます」

「踊りはずっと変わり続けます」

「見えなくても信じられます」

「太陽と月がそこにあり続けるように、365日24時間毎分毎秒音は変わり続けます踊りは変わり続けます見えなくても信じられます」

「スマホのレンズ越しに見た太陽は月の裏側のようなものですか?」

「私は月も太陽も大好きです」

「月と太陽どちらが好きですか?」

「好きは固定ができますか?」

「一緒に踊ってくれてありがとう」

「ずっと同じ音を聴いていてくれてありがとう」

「人類が太陽と月と共にあるようにずっと同じ音を聴いてくれてありがとうずっと踊りを描いてくれてありがとう」

「踊ってくれてありがとう」

「ノリノリでありがとう」

「え?」

「ラップバトル?」

「ごめんね!ラップできないんだよ」

「いやいやいやいやこれはラップじゃないんだよ」

「いやいやいやいやマジでこれはラップじゃないんだよ」

「ポエトリーリーディングでもないんだよ自分の気持ちを自分の言葉で話してるだけなんだよ」

「ラップバトル?」

「争いは好きじゃなからバトルじゃなかったらいいよ。それでもいい?」

『もちろん!!』

「喜んでくれてありがとう。相手を幸せにしたほうが勝ち、そういうラップバトルをしようー!」

「君たちいくつ?」

「高校生か!」

「ジャンケンで始めるの?」

「最初はグーじゃんけんぽん!」

『勝った!』

「ごめんよかったら先にやってくれない?お手本見せてくれたら助かるよ」

『いいっすよ』

「ありがとうよろしく」

『いきますよ』

「聴かせてよ!カモン!」

『俺はラップをやってる。

あなたはライブをやってる。

俺は筋トレやってる。

俺は筋トレもやってる!』

「すげーじゃん筋トレやってんだ!

すごいいい腕してるもん!

それだけでめっちゃすげえじゃん!

え? ラップになってる?笑笑

じゃあ次の子、カモンカモン!君もやりなよ!

来い!来い!来い!来い!来い!来い!来い!来い!来い!」

『俺には胸毛もヒゲもない!

あなたは大人のニット帽!

あなたのメガネ!あなたのラップ!

あなたの!ことが大好きだ!』

「マジで?!歩行者天国で告ってくれてマジありがとうマジ嬉しいよ。純粋な告白って最高だよ。じゃぁオレの番、いくぜ!

オレの胸には胸毛はねぇ

胸毛からヒゲが生まれた訳じゃねー

でも! オレの胸にはペコちゃんポコちゃん

ガバって見せるぜお前が好きだっ!!

どう? ラップになってるこれ?笑笑」

『マジラップっすよー!』

「そんなことないでしょ!笑笑 そもそも『ラップ』って、なんなの?」

『シンパシーです!』

「おおお!波長?みたいな?」

『そうっす!!』

「おお。会えて嬉しかったよ。いろいろありがとうね!いつもどこでラップやってんの?」

『公民館です!』

『高校生ラップ選手権にも出たことあるんですよ!』

『俺は一回戦突破してこいつは2回戦突破しました!」

「お!すげー!また今度ラップを教えて!」

『チース!』

「またね!」

『ヴィース!ありがとうございます!』

「こちらこそありがとう!」

「人類は」

「人類は」

「そう人類は」

「誰かと身体で物語りながら時間をつくってく」

「人類は」

「そう人類は」

「人類は」

「そう人類は」

「物語り合うことで純化されながら未来をつくってく」





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