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執筆者の写真AI UEOKA

詩【最後の龍】ポエブックス0 ミクロモアイ詩集『最初の龍 ひとつぶのあらし』より






最後の龍

龍は脱皮する



少年は青い海の中で

その抜け殻と戯れる



白く透き通ったその皮に

そっと指先をつけるその度に


少年の過去が

ひとつ

またひとつと


未来へと昇華されていく

少年の中に

数々の思い出がよぎる


しばらくの間

少年は

泣いたり笑ったりする

やがて少年は

龍の抜け殻の中に潜り込み

そっと水面を見上げる


抜け殻の裂け目から見上げた水面には

真っ白な太陽が浮かんでいる


しかし


次の瞬間


抜け殻を脱ぎ捨てたばかりの龍が

水面の上を通り過ぎ


一瞬


真っ白な太陽を

隠してしまう



巨大な龍の影と

抜け殻が重なる



「お前にはいつ会える?」


心の中で

少年は呟く




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