詩「ロケット」
- AI UEOKA
- 1月16日
- 読了時間: 2分

いろんな場所で羽を拾った
心に刺しては翼のふりをした
ハリネズミバードは飛べなかった
山のように積み上がる嵐
それでも踊ることはできるから
歌うことで空を震わせ鳥と話すことだって
今は誰もいない場所に羽を置き歩く
いつか誰かが見つけてくれたら
手紙の入れた瓶を沖に投げるように羽を置いていく
惑星に独りぼっち
泣いても意味がないから泣かなかった
楽しんでも意味がないから悲しまない
そもそも意味なんてないから意義を探さない
幸せな方が得をすると知っているから
得をしてもしょうがないからと
つまらないままでいた
いつか誰かがこの星に遊びに来ればいいのに?
大気圏の設定温度はどんどん上がっていくのに?
オーロラばかりが綺麗で
クレームの入りどころはだいたいそこ
真空だから何も届きませんと
星を見上げては
星を好きになることで全部帳消しにした
誰かにそばにいて欲しかった
まさか自分がそう想っていたなんて
好きな星を見つけてしまったんだと思う
「私だけがそれを知っていますように……」
そう思ってしまったのだから
それが人間というものなら
この星にはもしかしたらまだ
人類の生き残りいます!
「ここに」
火と水の間に生まれ
言の葉を風にゆらすように服を着替え
動物たちを可愛がることで自然から離れる術を覚え
100年 200年 300年の孤独
全部引き受けるふりをして
国を壊した
いつのまにか5000年が過ぎていて
世界にはロボットと私だけ
ロボットが嫉妬するからこの星に誰も呼べなかった
ロボットと子供を作ることはできた
けれども
セックスすることはできなかったから
いつしか私は
心さえ閉ざした
知り合い全員幽霊になっちゃったその後で
同窓会のハガキのデザインが思いついたら
それは「不幸」という名前で呼べそうです
だから
私はロボットを改良しロケットを打ち上げた
「ごらん。あの海から陸に上がり、ぼくらが今星空の中に暮らすことができているのは、僕が母さんと出会ったからだよ」
と、月は笑い
「あなたがラブレターを入れ沖に投げた手紙の数と、この星空に浮かぶ星の数が
ぴったり一緒なのは知ってたの?」
と、太陽は微笑み返す。
そして地球がつぶやく。
「それなら私が生きることで手紙になる」
